【ネパール日記・完成】
3月から突然できた、空洞の時間。
この時間を使って、ネパールでの生活を手作業でまとめなおした。
約4か月もの間、それだけに向き合えたこの作業と時間は、幸せでもあり、辛いものでもあった。
当時の写真と日記を見返すたびに、何度もネパールに引き戻された。
生きてる今はここなのに、あの埃っぽい匂いの記憶に入り込むことで、過去に生きているような感覚になるのは、正直きつかった。完全な自己満足でしかないことにここまで時間をかけて、何の意味があるんだろう…
何度も何度も行き詰まった。
思考と感情が揺れる日々。
そんななか、友人が天国に旅立った。
店を手放して旅に出るという、私の中ではとても大きな決断をした2年前、
『よっしー、
お金より大事なものは、覚悟だよ。
自分の人生を信頼して。
何者になるかなんて、大したことじゃないじゃん。』
彼女がそのとき投げてくれた言葉は、あまりにもシンプルで男前すぎて面を食らったのだけど、背中を押してもらうにはそれ位の強さがちょうどよく、ありがたかった。
それからも、私のネパール生活を励ましてくれたり楽しんでくれたり、離れていてもとても近くにいるようで、今回の製作中だって私がぐずぐずぶつぶつ悶々としていても、
『自己満足上等じゃん!それが意味があるかとか、いらないじゃん。』
って、
きっと言ってくれたに違いない。
あの時間を形にするには、これくらいの時間が必要だったんだと、今は思う。
過去に時間をかけて向き合うことは、次に進むための大切な準備なのだと、今ならわかる。
だからこれを、
ネパール語で『愛』(Maya ;マヤ)という響きを持つ名前の彼女に、真っ先に届けたい。
実際手にとってもらう事は叶わなかったけれど、彼女からもらった数多くのスピリットを込めてこれから先、いろんな人に受け取ってもらえたら、それ以上のことはない。
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そして次はこれを、たくさんの人に見てもらえるハコ(いわゆる『店』ってやつです)を、つくる準備に入ります。
全部で3冊になりました。
鎌倉のお店のことや、クローズする決意をしたところから出発までも記しています。
人生の中でみたら、たったの1年足らず。
それでも、誰のためでもなく、自分のために舵をきれたことは、改めて幸せなことだったと思う。
キャプションは白の水彩の上にのせる。
やっぱり私は紙の手触りが好きだし、写真を貼った糊のにおいも好き。
読みにくいけど、手で残す文字が好きです。
時間がどれだけかかっても、自分が何をつくりたくて、何をしたいかしかないなぁと。
これは旅の途中、タイで見つけたグラシン紙。色を添えるときに使いました。
10カ月旅をしながら、ネパール各地でチヤパサル(チャイ屋)をしたのは、36カ所。
延べ1000人以上の人にチャイを振る舞った。…らしい。
表紙に使ったのは、ネパールのロクタ紙。厚さ、質感、色に迷う。
綴じの部分に使ったのは、インドのブロックプリントの布。これまたどれにするか迷う。笑
はじめての和綴じ製本。
3冊をスキャンしました。web上でも紹介できればと思いますが、やはり紙や糊のにおいを感じながら実物を見てほしいなと思います。